2000年代に次世代通信技術として話題となったUWBは、スマートフォンに搭載されたことから再び注目されています。ここでは、UWBの位置検知の仕組みや、メリットデメリットについて解説します。
UWBは超広帯域無線通信のことで、日本国内では8.5GHz~9.5GHz程度の周波数帯域を利用。Wi-Fiの20MHzと比較すると、かなり広い帯域となっています。
2000年代にアメリカの軍事レーダーに使われ次世代無線通信技術として話題になっていましたが、一部の製品に採用されただけでした。しかし、2019年にアップルがスマートフォンに搭載したことから、再び注目を集めています。
UWB方式では、人や部品、設備など測定する対象物にタグをとりつけ、屋内に30m~40m間隔でセンサーを設置。タグが発信する電波を2個以上のセンサーが受信することで、タグの位置を特定します。
電波到達時間から距離を算出する信号到着時間や信号到来角度で位置を推定しますが、複数センサーによる正確な時刻同期と高速処理によって、高精度な測定が可能。スマートフォンなどUWBに対応した機器間では、通信したい機器の方向に向けることで位置情報を把握し、相手を認識します。
測位方式 | 特徴 | 利用シーン | 導入コスト | 測位範囲 | 検知誤差 |
---|---|---|---|---|---|
ビーコン(BLE)測位 | 位置精度も高く、 導入月額コストが比較的安価 |
広いオフィス 階が複数含むオフィスのヒト管理 |
月額3万~20万 | 3m~100m | 1m~5m |
Wi-Fi測位 | 位置精度はやや低いが 設置コストが安価 |
フロアが狭いオフィスの ヒト管理 |
月額数千円~ | 50~100m | 20m以内 |
UWB測位 | 高価な分、数センチ単位の 精度まで要求することが可能 |
倉庫の在庫管理 工場の作業導線管理 |
端末費 約200万円~ |
30m~40m | 10cm~1m |
RFID測位 | タグを視認する必要なく 対象物が箱の中でも検知可能 |
入出荷管理 モノの持ち出し管理 |
1タグ100円~ | 数cm~数十m | - |
地磁気測位 | 地磁気の乱れにより 精度が影響する可能性があるが設置コストが安価 |
病院、工場などのヒトモノ管理 | - | - | 約2m~ |
電波の強弱から位置を測定するBLEは、複数の発信機を設置する必要があります。一方UWBは、電波の届く時間を計測するため、設置台数が少なくても高精度な計測ができます。
マルチパスとはまっすぐに電波が届くだけでなく、ビルや山などに反射して複数のルートを通って複数の経路で電波が届くこと。ビルの間などで、電波が強いにも関わらず携帯電話が圏外になってしまうのは、マルチパスが原因です。
電波がマルチパスで届いてしまうため、正しい解釈ができなくなってしまうことから圏外になってしまいます。UWBの場合は、短いパルス波なのでマルチパスに強いです。
短いパルス信号を利用するため、信号を出すために必要な消費電力が少ないです。他の無線機器に比べて低電力で長時間仕様できる機器を作りやすく、コスト削減が期待できます。
短いパルス信号で正確に測定でき、遅延を生じることなく瞬時に位置情報が得られます。動いている対象を、リアルタイムで追跡することも可能です。
超広帯域によって伝送速度が高速化でき、複数の周波数を使用してデータの送信が可能です。通信容量も増大することから、測定時間も速くなります。
広い帯域を使うため、他の無線通信との干渉が少なく、システムに影響を与えることも少なくなります。
UWB受信専用のタグが必要となるため、工場などで利用する場合にはタグ分のコストがかかります。
信号到来角度で位置を推定するには、複数のアンテナ使用し、受信時間差から角度を求める必要があります。結果複数アンテナが必要となり、導入コストが高くなります。
必要な機能はこれ!利用シーン別の
おすすめ屋内位置情報サービスはこちら
UWBは、電波の届かない屋内でも高精度な測位ができ、広い帯域を使うため同時に複数送信が可能です。短時間で測定できるため、工場や倉庫などの生産管理や安全管理、物流管理などに利用されています。
屋内位置情報サービスは、利用シーンによって、適した測位方法を選ぶことがポイントです。UWB方式の事例を紹介しているので、参考にしてみてください。
オフィスにおけるニーズ別に3つのサービスをピックアプして紹介しています。
働いている場所と座席を管理し
費用を抑えて導入したい
オフィスがどう使われているか
施設利用の分析したい
社員の生産性・集中力などの
データを管理