フリーアドレスが失敗する原因

働き方の多様化が進み、企業においてもフリーアドレスを導入するところが増えてきました。フリーアドレスは、部門間のコミュニケーションの活性化、省スペース化やコスト削減においてメリットがあります。ただ、導入してから様々な問題が発覚し、結局失敗して固定席へ戻ってしまったケースも少なくありません。

このページでは、職場フリーアドレスの失敗でよくある原因をまとめて、さらに解決方法についても解説します。

フリーアドレス導入でよくある課題

位置情報の把握が難しい

フリーアドレスの場合、席が固定されていないために従業員の位置情報を把握するのが難しくなります。それにより、チーム間でのコミュニケーションが滞りやすくなり業務に支障をきたす恐れがあります。

また、上司と部下がお互いの居場所を把握できないため、上司は部下の管理ができない、部下は上司に相談しにくいといった状況が生まれるケースもあるでしょう。従業員に孤独感が生まれると、エンゲージメントや満足度の低下にまで影響を及ぼす可能性があります。

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席を確保しづらい

フリーアドレスを導入している企業の中には、スペースを有効活用するために、座席数を社員数よりも少なく配置しているところがあります。このケースでは、社員の出社率がたまたま高い日は席が足りなくなってしまうという事態になりかねません。

出社したにもかかわらずオフィスに席がないと、結局何人かが帰宅してテレワークに切り替えなくてはならず、移動に時間を費やしてしまうことになります。

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電話の取り次ぎができない

それぞれの従業員が自席で働いている場合は、座席表をもとに内線電話を取り次ぐことができます。しかし、フリーアドレスの場合は毎日働く場所が変わるため、従業員がどこにいるのか、場所の特定が困難になります。それぞれの居場所を把握できていないと、スムーズに電話の取り次ぎを行うことができません。

業務効率の悪化や現場のストレスを生む原因になってしまいます。

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書類管理が大変

フリーアドレスになると、今まであった個人のデスクや引き出しなどがなくなるため、収納スペースが減ってしまいます。そのため、各々が書類を管理するのが大変です。

せっかくフリーアドレスを導入したのに、書類があるために結局席が固定化してしまうといった場面も考えられます。自由な席でストレスなく働くには、いかにペーパーレス化を進められるかも大切です。

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席によっては集中できない

部署やチームを超えたコミュニケーションを活発にするためにフリーアドレスを導入している企業もありますが、席によっては社員の話し声によって騒がしくなり、業務に集中できない可能性も生まれます。周りの声によって集中力をそがれる人にとっては、騒がしいオフィスを苦痛に感じることもあるでしょう。

業務に集中できない環境が生まれると、ストレスによるモチベーション低下や生産性にまで影響を及ぼすおそれがあります。

荷物の持ち運びに手間がかかる

フリーアドレスを導入している企業では、デスクは個人に割り当てられるのではなく共有スペースとなります。離席時にはパソコンはもちろん、文房具や書類なども残しておけないため、移動する際の持ち運びに手間がかかるでしょう。

荷物だけでなく、郵便物の受け渡しも問題です。誰がどこに何を置いたかを忘れてしまうと、大事な郵便物を紛失してしまう可能性もあります。荷物を置くための個人ロッカーを設置する、受け渡しのための郵便BOXを設置するなどの対応が必要です。

フリーアドレス導入が失敗しやすい部署・企業

フリーアドレスの導入が失敗の可能性が高い部署や企業は、出社率が高く、固定席での作業が求められたり、機密情報を多く取り扱うなどの共通点があります。

出社率が高い

まず、出社率が高い部署と企業はフリーアドレス制度が長期的に安定しない傾向があります。フリーアドレスのメリットの一つは、座席数を出社率に合わせて減らし、オフィススペースを効率的に活用できる点です。しかし、社員の多くが常に出社している場合、空席を確保することが難しくなり、座席探しに時間がかかることを避けるために、いつもの席に固定してしまう可能性があります。

固定席での作業が必要

また、固定席での作業が求められる職種や業務内容を持つ部署と企業もフリーアドレスに不向きです。例えば、デスクトップパソコンや大型モニターを必要とするエンジニアやクリエイター、設計職などが多い企業では、移動しやすさよりも作業環境の安定性が優先されるため、フリーアドレスの導入がかえって効率を下げることがあります。

機密情報を多く取り扱う

さらに、個人情報や機密情報を多く取り扱う部署も、フリーアドレスの導入には注意が必要です。人事部、経理部、法務部などでは、高いセキュリティレベルが求められるため、資料の移動による紛失や情報漏洩のリスクが懸念されます。そのため、これらの部署では固定席の維持、もしくは別途資料を保管する場所の確保が必要です。

ペーパーレス化が進んでいない

最後に、ペーパーレス化が進んでいない企業もフリーアドレスには不向きです。紙の資料が多いと、収納スペースの確保や管理が難しくなり、オフィスの整頓が維持できないことがあります。これらの要因を踏まえ、フリーアドレスを導入する際には、部署や企業の特性を十分に考慮することが重要です。

フリーアドレス導入が成功しやすい部署・企業

フリーアドレスが失敗しにくい部署や企業は、オフィスの出社率が低く、部署間の連携が頻繁で、情報のセキュリティ対策が整っているなどの特徴があります。

外回りやテレワークが多い

外回りやテレワークが多く、オフィスの出社率が低い部署や企業にはフリーアドレスがおすすめです。例えば、営業職やフィールドワークを中心とする業種では、社員が常にオフィスにいるわけではないため、フリーアドレスの導入がスムーズに進むでしょう。座席数を減らすことでオフィススペースを有効活用でき、コスト削減や柔軟な働き方の促進につながります。

部署をまたぐ連携が活発

また、部署をまたぐプロジェクトが多い企業や、固定電話の利用が少ない業務環境もフリーアドレスに適しています。こうした環境では、社員同士のコミュニケーションが活発になり、新たなアイデアやコラボレーションが生まれやすくなるというメリットがあります。特に、オンラインチャットツールなどを活用している企業では、場所に縛られずに仕事が進められるため、フリーアドレスの導入がより効果的です。

セキュリティ対策が整っている

さらに、セキュリティ対策が十分に整っている企業や部署もフリーアドレスを取り入れやすいと言えます。例えば、セキュリティカメラの設置や入退室管理がしっかりと行われている環境では、個人情報や機密情報を取り扱う業務でもフリーアドレスを活用することが可能です。このような環境では、情報漏洩のリスクを最小限に抑えながら、柔軟な働き方を実現できます。

クラウド化が進んでいる

最後に、ペーパーレス化やクラウド化が進んでいる企業も、フリーアドレスと相性が良いです。紙の資料を必要とせず、デジタルデータで業務を進められる環境では、どの席でもスムーズに仕事を開始できるため、フリーアドレスの利点を最大限に活用することができます。