空港における屋内位置情報サービスの事例として「利用客向けの空港内案内」や「空港用手荷物カートの管理」が挙げられます。ここでは、屋内位置情報サービスを導入している空港の事例を紹介します。
成田空港はかねてより、初めての空港利用者や訪日外国人に向けたスムーズな空港内案内を課題としていました。一方、NTTデータは「高精度屋内位置情報サービス」を活用したアプリ開発に着手しており、2018年に、成田空港にこのアプリの導入を提案しました。
NariNAVIは「地磁気」を利用した測位方法を採用しています。地磁気測位は、GPS測位と比較して、より精密に現在地の表示が可能です。GPS測位は10メートルほどの誤差が生じるため、屋内案内など一定エリア内の案内に弱い問題がありました。NariNAVIを導入したことで、地図の表示方法を2Dの他「2.5D」として、階層の異なる複数フロアをシームレスに確認できるようになりました。NariNAVIは「Web版」「アプリ版」が用意されており、無料で利用できます。Web版は一部機能に制限がかかりますが、アプリ版であれば「フライトや店舗の検索」「搭乗券読み取りによる搭乗ゲート検索機能」も合わせて利用できます。
羽田空港では、空港用手荷物カートの管理が課題となっていました。空港内の多岐にわたる膨大な数ゆえ「利用客数に合わせた適正配置の予測困難」「不特定箇所のカート置き去り」が問題として挙げられていたのです。仮にGPS測位のシステムを導入しても、数メートル単位での細かな位置特定には不便があります。また、IoT化を実現するにも日常管理の手間としてバッテリー交換等のメンテナンスが必要になることなど、新たな問題も山積しており、新システム導入に踏み切れない事情がありました。羽田空港ではこれらの問題を解決する実証実験として、花岡車輌株式会社が主導する「空港用手荷物カート・屋内外位置管理システム」を導入しました。
羽田空港では実証実験に伴い、ソーラービーコン搭載の空港用手荷物カート「PC-90」と、位置・情報管理IoTプラットフォーム「ARU」の他、「LPWA対応通信機器」を導入しました。PC-90の位置情報把握にはBluetooth信号が採用されています。PC-90にはソーラービーコンが内蔵されており、一般家庭における居間や浴槽程度の明かり(照度100ルクス)で充電が可能です。フル充電で約3か月の動作が可能とされています。また、腕時計基準の防水性能も備えており、3気圧(耐水圧30m)までの雨や飲料にも対応できます。
空港に屋内位置情報サービスを導入すると、利用客の利便や空港内備品管理の便宜が図れます。屋内における地図案内であれば、GPSを活用するより、地磁気を利用したサービスを利用したほうが、より正確な現在地表示が可能となります。当サイトでは、空港の他にも利用シーン別におすすめの屋内位置情報サービスを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
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