地磁気センサーによる測位は、事前に作成された屋内の地磁気マップを、携帯端末に搭載されたセンサーと専用アプリによって計測する屋内測位方法です。ここでは、地磁気センサーによる屋内位置測位の仕組みや、メリットデメリットについて解説します。
地球の持つ磁気を地磁気といいます。地磁気センサーによる測位は、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末に搭載されたセンサーと、専用アプリを使って磁気データを計測。あらかじめ作成されている屋内マップと地磁気データが格納されたデータベースを照合することで、現在位置計測や移動履歴を取得する技術です。
屋内の位置を記録したフロアマップに対応する地磁気情報を歩行調査で収集し、地磁気マップのデータベースサーバーに事前に作成します。ユーザーのモバイル端末に搭載されたセンサーと専用アプリによって取得された情報と、地磁気マップデータベースをマッチング。高精度な位置情報を把握できます。
測位方式 | 特徴 | 利用シーン | 導入コスト | 測位範囲 | 検知誤差 |
---|---|---|---|---|---|
ビーコン(BLE)測位 | 位置精度も高く、 導入月額コストが比較的安価 |
広いオフィス 階が複数含むオフィスのヒト管理 |
月額3万~20万 | 3m~100m | 1m~5m |
Wi-Fi測位 | 位置精度はやや低いが 設置コストが安価 |
フロアが狭いオフィスの ヒト管理 |
月額数千円~ | 50~100m | 20m以内 |
UWB測位 | 高価な分、数センチ単位の 精度まで要求することが可能 |
倉庫の在庫管理 工場の作業導線管理 |
端末費 約200万円~ |
30m~40m | 10cm~1m |
RFID測位 | タグを視認する必要なく 対象物が箱の中でも検知可能 |
入出荷管理 モノの持ち出し管理 |
1タグ100円~ | 数cm~数十m | - |
地磁気測位 | 地磁気の乱れにより 精度が影響する可能性があるが設置コストが安価 |
病院、工場などのヒトモノ管理 | - | - | 約2m~ |
屋内測位方法として注目されているBLEビーコン測位では、計測機器を設置するための工事費用が必要。磁気センサーとスマートフォンがあれば、高精度や測位情報が得られるためインフラを構築するコストが不要です。
施設の屋内に計測機器を設置するためには、施設管理者に依頼する必要があり、所有権が複雑な地下街などは時間がかかるという問題があります。地磁気センサーは特別な機器設置の必要が無いため、施設管理者に依頼する必要もなく、スピーディな導入が可能です。
地磁気マップを更新するだけで、対象範囲を広げたり、フロアを増やしたりできます。屋内ナビゲーションシステムの実現も、技術的に難しくありません。
測定には地磁気マップがあれば使用可能なため、機器メンテナンスなども不要となり、運用コストも抑えられます。
最初に地磁気データを測定して、地磁気マップのデータベースを作成する必要があります。ひも付けしたデータを管理しなくてはならないため、時間と手間がかかります。
大型の車両や鉄道車両が近隣を通過すると地磁気が乱れるため、駅や倉庫などの物流拠点の屋内測位には向いていません。
スマートフォンやタブレットなど携帯端末の性能は各社で差があり、得られるデータも端末ごとに異なるため誤差が発生。センサーを搭載していない端末もあるため、測定ができない可能性もあります。
鉄骨や鉄筋コンクリートでできた建物や地下街の中を移動すると、周辺金属の残留磁気が影響。まっすぐに歩いていても、値が異なることがあります。
必要な機能はこれ!利用シーン別の
おすすめ屋内位置情報サービスはこちら
屋内の位置情報サービスの測位方法には、Wi-FiやBLEビーコンなどがありますが、地磁気センサーによる測位と併用することで、高い精度の位置計測を実現。スマホのアプリケーションを利用するだけで、精度の高い位置情報が把握できます。
屋内位置情報サービスは、利用シーンによって、適した測位方法を選ぶことがポイントです。各測位方法による事例を紹介しているため、参考にしてみてください。
オフィスにおけるニーズ別に3つのサービスをピックアプして紹介しています。
働いている場所と座席を管理し
費用を抑えて導入したい
オフィスがどう使われているか
施設利用の分析したい
社員の生産性・集中力などの
データを管理